熟年離婚を検討する際、離婚後の生活費や老後の生活を支える手段として年金分割という制度があります。
本記事では、熟年離婚における年金分割制度の概要や、手続きの流れについて解説します。
年金分割制度とは
年金分割制度とは、婚姻期間中に納めた厚生年金や共済年金の記録を、離婚時に夫婦間で分け合う制度です。
国民年金などの基礎年金部分は分割の対象外であり、あくまで会社員や公務員として納めた厚生年金の記録のみが対象となります。
また、年金分割の手続きには期限があり、原則として離婚した日の翌日から5年以内に請求を行わなければなりません。
ただし、2026年3月末までに離婚が成立しているケースでは、法改正前のルールが適用されて期限が2年以内となるため注意が必要です。
年金分割の2つの方法
年金分割には、話し合いで割合を決める合意分割と、配偶者の同意なしで手続きできる3号分割の2つがあります。
合意分割は、夫婦で話し合って最大50パーセントまでの割合を自分たちで決める制度です。
一方の3号分割は、会社員である配偶者に扶養されていた期間の記録について、配偶者の同意を得ずに単独で50パーセントずつ分け合える制度です。
この3号分割の制度が始まったのは2008年4月からです。
そのため、これより前から結婚している熟年夫婦の場合は、2008年3月以前の期間について話し合いによる合意分割も併せて行う必要があります。
年金分割の手続きの流れ
年金分割における手続きの流れについて、順を追ってみていきましょう。
①情報通知書を取得して分割割合を話し合う
年金分割の手続きをするために最初に行うのは、年金事務所で情報通知書を取得し、夫婦間で話し合うことです。
情報通知書には、夫婦それぞれの対象期間や分割できる割合の範囲など、話し合いに必要な情報が記載されています。
無事に話し合いで割合が決まった後は、合意内容を公正証書などの公的な書面に残しておくことで、離婚後のトラブルを防ぎ、その後の手続きをスムーズに進められます。
②話し合いがまとまらない場合は調停や審判を行う
配偶者が話し合いに応じてくれない場合や合意できない場合は、家庭裁判所へ年金分割の調停を申し立てることになります。
調停では調停委員を交えて話し合いを行い、それでも決着がつかない場合は裁判官が割合を決定する審判へと移行します。
③離婚後に年金事務所で請求手続きを行う
分割割合が決まったら、離婚成立後に年金事務所へ出向いて年金分割の請求手続きを行います。
手続きに必要な書類は、おもに以下の通りです。
- 基礎年金番号通知書または年金手帳
- 離婚の事実が確認できる戸籍謄本
- 分割割合を取り決めた書類:公正証書や調停調書など
これらの必要書類を窓口へ提出し、不備なく受理されることで手続きが完了して将来の年金額に反映されます。
まとめ
今回は、熟年離婚における年金分割の基礎知識や具体的な手続きの流れについて解説しました。
老後の生活基盤を支える年金分割では、合意分割と3号分割の違いを理解し、期限内に適切な手順を踏むことが大切です。
配偶者との交渉に不安がある場合や手続きに迷う場合は、早めに弁護士への相談をおすすめします。





