個人再生とは、債務整理の1つの方法です。
自己破産と違い、大切な資産を失うことなく債務を減額でき、任意整理よりも減額幅が大きいのが特徴といえるでしょう。
では、債務の中に保証人がいる債務がある場合、個人再生の申請で保証人にはどのような影響があるのでしょうか?
本稿で注意点と併せて解説していきます。
個人再生をすると保証人にはどのような影響がある?
個人再生を申請すると、その時点で債権者への返済は一時ストップします。
債権者は債務者との契約の中で、「債務者が返済できない場合は、保証人がこれに代わって返済を行う」という契約を結んでいます。
当然債権者は保証人に請求をする形になります。
仮に、個人再生が認められて、債務が1/5~1/10に減額されたとしても、保証人に対する請求が減額されることはありません。
保証人が一括返済を請求される可能性大
債務者が個人再生を申請した時点で、保証人に対して返済が求められるのは契約上避けられません。
また、債務者の過失があったと判断されれば、残務の一括返済を求められる可能性が高くなります。
自身の借り入れのために保証人となってくれた方に、大きな迷惑をかけてしまう可能性があることが、個人再生を申請する際の大きな問題となります。
個人再生する際の注意点
個人再生を申し立てることで、保証人には大きな影響を与えます。
保証人とは基本的に、身近な信頼できる人物にお願いするケースが多いですが、個人再生をすることでその保証人との関係性に悪い影響が出てしまう可能性があります。
そんな保証人への影響を抑えるためとはいえ、個人再生をする際、絶対にやってはいけない注意点を2点紹介しましょう。
保証人ありの債務を隠しての申請はNG
個人再生は、債務者が持つすべての債務に関して情報を開示し、申し立てる必要があります。
その債務の中から、保証人がいる債権のみを除外して、それ以外の債務のみで個人再生を申し立てることはできません。
もし申し立て後に、このような一部の債務を隠して申請したことが発覚すれば、個人再生の申し立ては認められなくなるでしょう。
保証人ありの債務のみを先に完済するのもNG
ほかの債務に関しては返済をせずに、保証人がいる債務のみを優先して返済し、その後に個人再生を申し立てるのもNG行為です。
個人再生が認められるのは、すべての債務に対して真摯に返済をしているものの、返済が追いつかないというケースです。
一部の債務を優先して返済したことで、ほかの債務が残っているという状態では個人再生は認められません。
一部の債権を優先して返済することを「偏頗弁済(へんぱべんさい)」といい、偏頗弁済が発覚した場合には、"ペナルティ”が課されるケースがあります。
それは、偏頗弁済した金額が、個人再生で圧縮された返済額に上乗せされてしまう、というケースです。
例えば、個人再生により500万円の債務が100万円に圧縮されたとします。
しかし、実は元々600万円の債務があったところ、その内の100万円分を偏頗弁済していたということが発覚すれば、個人再生後の返済額100万円にその100万円が上乗せされて、200万円が返済額となります。
個人再生による最低返済額は、個人再生を申し立てた時点での所有財産の価値が基準となります。
偏波弁済に充てられた額は「本来なら持っていたはずの財産」とみなされ、申し立て時点の所有財産額に足される、つまり、実際に所有している財産よりも、偏頗弁済した分だけ多い額を返済することになってしまうのです。
一部の債務を優先して返済することは、個人再生にも悪影響が大きいのでおすすめできません。
まとめ
個人再生は、債務整理のひとつの手法であり、手持ちの財産はそのままで、債務を1/5~1/10程度に減額できるという方法です。
しかし、保証人が要る契約の場合、個人再生をした方の返済はストップしますが、その返済の請求は保証人にいくことになります。
だからといって、保証人がいる債務を隠して個人再生を申し立てることはできません。
申し立て後に隠していたことが発覚すれば、個人再生は認められなくなります。
さらに、保証人がいる債務だけ優先して返済し、それ以外の債務で個人再生を申し立てようとしても、かえって返済額が増えてしまうケースもあります。
個人再生を検討している方は事前に弁護士に相談することを検討してみて下さい。